寒くなりましたが、腸管出血性大腸菌感染症は発生しています!
掲載日:2023年12月14日
発生状況
腸管出血性大腸菌感染症は大阪府では年間で150例から250例ほどの報告があります。毎年梅雨の時期から初秋までの期間に報告数が多くなる感染症ですが、今年は初冬に入ってからも報告数が多い状況が続いています。冬季は感染性胃腸炎が流行する時期でもあり、消化器症状を呈していても感染性胃腸炎が疑われ、腸管出血性大腸菌感染症の探知が遅れる可能性もあります。
大阪府内の発生状況はこちら(大阪府感染症情報センター)
- 腸管出血性大腸菌感染症
- (参考) 感染性胃腸炎
感染経路
感染経路は主に牛、羊、ヤギ、鹿等の生肉や、菌に汚染された非加熱食材の喫食による経口感染、またそれらの動物との接触による接触感染。また保菌したヒトの糞便で汚染されたものを口にすることで感染します(ヒトからヒトへの感染伝播)。感染力が強く、通常の細菌性食中毒では細菌を100万個単位で摂取しないと感染しないのに対し、わずか100個程度の菌数の摂取で発症するといわれています。
ヒトからヒトへの感染伝播では特に、家族内や排泄の自立していない幼児が集団で活動する保育施設等では施設内の感染伝播のリスクが高くなります。感染者の排菌期間は大人では1週間以内のことが多いといわれていますが、子供では3週間程度と長くなることも多いといわれています。
臨床症状
2-10日(中央値3-4日)の潜伏期をおいて、発熱は軽度で、多くは37℃台です。下痢症状は軽度なものから激しい腹痛を伴う頻回の水様便、血便(出血性大腸炎)と様々です。有症者の6-7%では、下痢などの初発症状発現の数日から2 週間以内に、重症な溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)、または脳症などの合併症が発症することがあります。HUS を発症した患者の致死率は1-5%とされており、1-4歳の幼児では特にHUSを発症するリスクが高いです。一方で、高齢者がHUSを発症した場合の死亡リスクは高いといわれています。
感染予防に向けて
- 生肉はしっかり加熱する
- 生肉に触れた箸やトングなどは生肉専用とし、加熱調理済みの肉を扱うものと明確に分ける
- 動物に触れた後には、しっかりと手を洗う
- 保育施設等においては施設内での適切な手指衛生や環境清掃・消毒を実施する
- 下痢、吐き気、腹痛、血便等の消化器症状がでたら受診する。周囲に感染者がいる場合にはそのことを受診時に伝える
【参照情報】
1) 国立感染症研究所腸管出血性大腸菌感染症とは
2) 厚生労働省関西空港検疫所腸管出血性大腸菌感染症
3) Control of communicable diseases manual 21st edition David L. Heymann,APHA Press
【その他の関連情報】
大阪健康安全基盤研究所食中毒、梅雨の時期は要注意です!「つけない」「増やさない」「やっつける」を心がけてください!
お問い合わせ
公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326