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大阪健康安全基盤研究所

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4月25日は世界マラリア・デーです。

掲載日:2024年4月23日

―マラリアは世界3大感染症―

世界マラリア・デーの由来

マラリアは亜熱帯・熱帯地域を中心に感染者数が多く、人類に甚大な健康被害をもたらしている感染症です。日本ではマラリアは比較的稀な輸入感染症ですが、特に熱帯熱マラリアの場合、診断や治療の遅れにより致命的になることがあります。また、薬剤耐性(抵抗性)マラリア原虫や殺虫剤耐性媒介蚊も出現しています。マラリア対策は世界各国が協調して進めている地球規模の課題です。4月25日は、2007年の世界保健機関(WHO)総会で決められたマラリア対策推進のための記念日、世界マラリア・デーです。

概要

  • マラリアは、結核やエイズ(後天性免疫不全症候群)と共に、人類に甚大な健康被害を及ぼしている世界3大感染症です。
  • マラリアは寄生虫(原虫)を原因とする生命を脅かす疾患です。マラリア原虫には5種類(熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形、サルマラリア原虫)ありますが、人間の生命に脅威となる原虫は熱帯熱と三日熱マラリア原虫です。
  • 蚊媒介感染症であり、原虫を保有した雌のハマダラカに刺咬されることで人に感染します。
  • 予防や治療が可能で特に熱帯熱マラリアでは、アルテミシニンをベースにした併用療法(ACT)が有効です。
  • 2021年10月以降、WHOは、熱帯熱マラリア原虫の感染が中程度~高い地域に住む子供たちにRTS、S/AS01マラリアワクチンを広く使用することも推奨しています。 このワクチンは、幼児における感染および重症化を大幅に軽減することが示されています。
  • 感染を防ぐには、殺虫剤で処理した蚊帳や住居内の残留殺虫剤噴霧によるベクターコントロールが主な方法ですが、近年は、ハマダラカの殺虫剤への耐性が問題となっています。
WHO:マラリア 

 

発生動向(世界)

  • 2022年には世界で約2億4,900万人のマラリア患者が発生したと推定されています。
  • 2022年における世界のマラリア死亡者数は約608,000人でした。
  • 特に、アフリカ地域でマラリアの脅威・健康被害が甚大です。2022年は世界のマラリア患者の94%、マラリア死亡者数の95%がアフリカ地域に起因していました。5歳未満の子どもが最もマラリアの影響を受けやすく、アフリカ地域における2022年のマラリアによる全ての死亡のうち、80%がこの年代の子どもでした。
  • マラリアによる全ての死亡のうち、アフリカ地域の特に次の4か国ナイジェリア(26.8%)、コンゴ民主共和国(12.3%)、ウガンダ(5.1%)、モザンビーク(4.2%)で半分以上を占めています。

発生動向(日本、大阪府)

現在、日本では国内感染例はなく、マラリアは輸入感染症です。2022年には31例の届出があり、輸入マラリア(熱帯熱や三日熱が多く、報告例の80%以上)の主要な推定感染地域として、熱帯熱マラリアはアフリカ、三日熱マラリアはアジア、オセアニア、中南米の熱帯・亜熱帯地域です。大阪府では2022年は3例の届出がありました。

表.マラリア発生動向

 2022

三日熱

四日熱

卵形

熱帯熱

その他

不明

国内

3

1

3

22

0

2

31

国立感染症研究所:2022年(令和4年)集計表一覧より  第1-2表

(報告数,疾病詳細がある全数把握対象疾患と疾病詳細・性別・都道府県・週別)
大阪府感染症情報センター:感染症発生動向調査事業報告書(年報)      


潜伏期間、症状や重症化

  • 潜伏期間:7~40日間
  • 症状:発熱、悪寒、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛
  • 重症化:特に、熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死に至ります。脳症、腎症、肺水腫、出血傾向、重症貧血など、さまざまな合併症がみられます。
  • なお、マラリアの蔓延地域では、住民に免疫が成立し、不顕性感染を呈することもあります。

厚生労働省検疫所:マラリアについて (ファクトシート)

      厚生労働省検疫所:マラリアに注意しましょう!

予防:予防薬や蚊対策

  • マラリア流行地へ渡航する際、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされています。マラリア予防薬は、医師の処方が必要です。ご自分の体調や渡航先について事前に専門医と相談し、専門医の指示に従って服用してください。予防薬を服用していても防蚊対策は必要です。
  • マラリアを媒介するハマダラカは主に夕暮れから明け方にかけて活動します。長袖・長ズボンを着用し、できる限り肌の露出を少なくしましょう。最善の策は蚊に刺されないことです。
  • 蚊刺咬対策として虫よけスプレーやローションが使われています。防虫薬濃度によって、効果の持続時間が異なります。頻回に塗る必要性など、予め情報を入手しましょう。

治療 

  • 流行地に入ってから7日目以降にマラリアを疑う症状(発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛など)が出た場合、速やかに医療機関を受診してください。
  • 予防薬を内服していても感染することがあります。
  • 海外で症状が出たときのために、渡航先の医療事情を確認しておきましょう。
病原微生物検出情報(IASR):特集マラリア2006~2017
国立感染症研究所:マラリアとは

国立感染症研究所:日本の輸入感染症例の動向について
大阪府:マラリアについて

お問い合わせ

公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326