蚊が媒介する感染症に注意!
掲載日:2024年7月1日
気温が上昇し、蚊が活動する季節になりました。病原体を保有している蚊に刺された場合、「かゆみ」だけではなく、「蚊媒介感染症」と呼ばれる病気になる場合があります。蚊媒介感染症は世界的に多く発生し、ウイルス性疾患であるデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症、日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱、原虫疾患であるマラリア等があります。過去、これらの感染症のほとんどは主に熱帯、亜熱帯地域で流行しています。コロナ禍以前と比べると、2020年及び2021年の国内におけるデング熱、チクングニア熱、マラリア等の報告数は大きく減少しました。これは、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、2020年及び2021年に、我が国でも渡航制限措置が実施された影響を受けたためと推察されます。
デング熱について、2022年における全国の報告数は増加し、2023年は更に増加しました。2024年4月30日現在、世界保健機関(WHO)より、2024年に760万人以上のデング熱症例が報告されており、特に南北アメリカ地域で顕著に報告されています。
〇国立感染症研究所「日本の輸入デング熱症例の動向について」
- https://www.niid.go.jp/niid/ja/dengue-m/dengue-idwrs/6663-dengue-imported.html
- https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/dengue/PDF/Dengue_imported_202405.pdf
〇厚生労働省検疫所(FORTH)「デング熱-世界の状況」
〇世界保健機関(WHO)「Dengue - Global situation」
ジカウイルス感染症は2023年に2020年以来となる報告がされ、チクングニア熱は2021年に報告はありませんでしたが2022年及び2023年は報告がありました。また、マラリアは2019年に57例、2020年と2021年にそれぞれ27、23例の報告がありましたが、2022年と2023年にそれぞれ31、36例となり、コロナ禍以降は増加傾向となっています。今後、入国者が増加することで、国内に流入する恐れが更に高まります。
一方で、日本脳炎は国内でも感染する可能性があります。2019年に9例の報告があり、2020~2023年はそれぞれ3~6例が確認されています。
蚊媒介感染症は、基本的にヒトからヒトに直接感染するものではなく、ウイルスや原虫を保有した蚊を介して感染するため、蚊に刺されないよう正しい知識と予防法を身に付けておくことが大切です。
蚊と病気について詳しく解説していますので是非ご覧ください。
- 大阪健康安全基盤研究所「蚊に刺されてかかる感染症にご注意!」
- 大阪健康安全基盤研究所「住宅地の蚊ーヒトスジシマカとアカイエカー」
- 大阪健康安全基盤研究所大安研ちゃんねる「蚊を増やさないためにできること」
- 大阪府「蚊媒介感染症に注意しましょう!」
- 厚生労働省「蚊媒介感染症」
大阪府・市ではウイルスを媒介する可能性のある蚊について調査しています。
厚生労働省が実施する感染症流行予測調査事業では、日本脳炎ウイルスに対する抗体保有状況について毎年調査しています。
〇ヒトの感受性調査
ヒトの日本脳炎ウイルスに対する抗体保有状況から分析し、今後の流行の可能性を推定して、予防接種計画に役立てています。
〇ブタの日本脳炎感染源調査
ブタの日本脳炎ウイルスに対する抗体を測定し、日本脳炎ウイルスの蔓延状況を把握することにより、間接的にヒトへの感染の危険性を予測しています。
大阪府でも動物由来感染症サーベイランスの一つとして、ブタの日本脳炎ウイルスに対する抗体保有調査を実施しています。
その他、海外で気を付ける感染症情報がわかりやすく掲載されています。
すべての感染症ではありませんが、感染症(蚊媒介感染症では日本脳炎や黄熱)を予防するため、ワクチン接種は有効です。予防接種情報は厚生労働省検疫所ホームページで掲載されています。
お問い合わせ
公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326