刺身に白い粒がないか確認しよう
掲載日:2023年6月30日
「刺身を食べようと思ったら、白い粒(異物)が見えて、食べる気が失せた」、そんな経験はないでしょうか。それは正しい反応で、生で食べるのは止めておいた方が良いです。今回はそんな刺身の異物について解説します
1.見たことありますか?刺身の白い粒
白い粒はイワタクドア(Kudoa iwatai)という寄生虫です。粒の大きさは数mmで肉眼でもわかります(下図矢印)。粒の中には小さな胞子がたくさん詰まっています。この寄生虫がどのような暮らしをしているのかはよくわかっていません。
ある報告によると、魚介類の販売業者でも、このような粒を見たことがない人がいるそうです。
読者の皆さんは見たことありますか?
2.食べてしまったらどうなるの?
イワタクドアは食中毒を引き起こすナナホシクドア(Kudoa septempunctata)に近い種類です。イワタクドアも食中毒を引き起こすかどうかまだはっきりわかっていませんが、生や加熱不十分な状態で食べると、数時間で下痢や嘔吐を起こした事例があります(表)。現在食中毒統計には反映されていないため、日本でどのぐらいこのような事例が起きているのかは不明です。
3.注意したい魚の種類は?
イワタクドアは天然、養殖に関わらず、多くの魚種から検出されています。これまでにタイの仲間(マダイ、イシダイ、ヘダイ等)の他、ブリ、サワラ、スズキ、マゴチなどからの検出が報告されています。魚の種類は今後増える可能性があります。
4.できる対策は?
魚をさばく時、寿司や刺身を食べる時には、
よく確認しましょう:白い粒は肉眼でもわかる大きさです。白身魚の場合は、気が付きにくいかもしれません。
白い粒を見つけたら・・・
生食は控えて、十分な加熱や冷凍をしましょう:「その魚は廃棄」も有効です。
調理に使った器具はしっかり洗いましょう: 白い粒がついているかもしれません。
5.引用文献
文献1
食中毒疑い事例から検出したKudoa iwataiの一事例
Ann.Rep.Kagoshima Pref.Inst.for E.R.and P.H.Vol.16 (2015)
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文献2
Kudoa iwataiが原因と疑われた有症苦情事例について―長野県
(IASR Vol. 39 p224-225: 2018年12月号)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/route/parasite/1966-idsc/iasr-in/8487-466d02.html
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文献3
Kudoa iwataiが原因と疑われる有症事例の背景と啓発の必要性について
(IASR Vol. 43 p97-99: 2022年4月号)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/route/parasite/1966-idsc/iasr-in/11090-506d01.html
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