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大阪健康安全基盤研究所

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「知ることからはじめよう!」11月10日は、世界HTLVデー

掲載日:2023年10月26日


HTLV
とは?

HTLVはヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell Leukemia Virus)のことで、HTLV-1とHTLV-22つのタイプがあり、日本はHTLV-1の流行地域として知られています。


日本におけるHTLV-1


HTLV-1は、人類発祥の地であるアフリカより人の移動に伴ってパプアニューギニア、オーストラリア、中南米などへ広がっており、日本には縄文時代以前に大陸より渡ってきたと考えられています。2020年の調査では、日本において約66万人のHTLV-1キャリア(無症状のままHTLV-1ウイルスを保持している人)がいると推定されており、国民の約200人に1人に相当します。
HTLV-1キャリアはもともと九州地方に多いことが知られていましたが、現在では大阪などの大都市圏で増加傾向にあります。

 
HTLV-1
に関連する病気

HTLV-1の主な感染経路は、授乳による母親から子供への母子感染(垂直感染)と、性交渉による感染(水平感染)です。HTLV-1の感染力はとても弱く、授乳や性交渉を除いた日常生活で感染することはありません。HTLV-1 に感染しても、ほとんどの人はHTLV-1が原因となる病気を生涯発症しません。しかしながら、HTLV-1キャリアの約5%の人は

  • 血液の病気(成人T細胞白血病・リンパ腫)
  • 神経の病気(HTLV-1関連脊髄症)
  • 目の病気(HTLV-1関連ブドウ膜炎)
を発症します。成人T細胞白血病・リンパ腫は、血液に含まれるリンパ球ががん化する病気で、病気の進行速度は人によって異なり、症状の現れ方も無症状の人から免疫機能が低下して感染症にかかりやすくなる人まで様々です。HTLV-1関連脊髄症は運動障害や排尿障害などの症状があり、運動障害では足がつっぱり歩きにくい、力が入りにくいといった症状から病気が進行すると、多くの場合は杖や車いすが必要となり、さらには寝たきりになることもあります。HTLV-1関連ブドウ膜炎は、目の中のぶどう膜という場所で炎症が起こり、目のかすみや、視力の低下などを引き起こす病気です。


大阪府内のHTLV-1検査相談事業

大阪府内の保健所ではHTLV-1の相談窓口を設置しており、血縁のある方がHTLV-1キャリアであると分かった方や、「HTLV-1に関連する病気」の項目で紹介したような症状が続きHTLV-1感染が気になる方がご相談いただけます。また、相談の中で検査が必要と判断された方を対象とした抗体検査も行っています。なお、相談のみ実施している保健所もありますので、最寄りの保健所までお問い合わせください。


 HTLV-1
情報ポータルサイト「ほっとらいぶ」

HTLV-1に関連した情報をいち早く、わかりやすく届けるために、HTLV-1関連の研究者と医療関係者が執筆・監修している情報サイトです。
HTLV-1キャリアの方やご家族の方、医療従事者の方のために、専門知識を持った看護師による電話相談も行っています。

 
「11月10日」は、世界HTLVデー

HTLVにはHTLV-1だけでなくHTLV-2があります。世界的にはどちらのウイルスのキャリアもいるため、これらの普及啓発と感染予防対策の推進を目的として、HTLV-1関連の患者会や日本HTLV-1学会、国際レトロウイルス学会によって1110日が世界HTLVデーに制定されました。世界エイズデー(121)のように世界保健機関(WHO)の認定する「International Day」への登録を目指しています。

世界HTLVデーのキャッチコピーは「知ることから始めよう!」です。新たなHTLV感染を減らしていくには、まずそのウイルスを知ることから、という思いから考案されました。ロゴマークの左に配置された地球は、世界のHTLVを抑え込むという願いが込められています。

HTLVday





お問い合わせ

微生物部 ウイルス課
電話番号:06-6972-1402