食物アレルギーの原因となる食品の表示について
食物アレルギーは命に関わることもあるため、消費者が正確に判断できるよう、アレルギー物質を含む食品の表示方法は細かく定められています。今回は、食品中に含まれるアレルギー物質の表示制度や当所における検査体制についてご紹介します。
食物アレルギーとは
ある食品を食べた時、食品中に含まれるたんぱく質等(アレルギー物質)を異物と認識することで、体の免疫機構が過剰に反応することです。
アレルギー症状について
症状が軽い場合は、皮膚症状(かゆみ、湿疹、じんましん)、消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛)、鼻・目粘膜症状(鼻水、くしゃみ、目のかゆみ)等があります。重症例では、アナフィラキシーショック(注1)が短時間のうちに起こり、対応が遅れると命に関わることがあります。
(注1)アナフィラキシーショック:呼吸困難、血圧低下や意識障害を伴うショック状態となる重篤な症状のこと
アレルギー物質を含む食品(特定原材料等)の表示制度
アレルギー物質を含む食品のうち、特に症状の重篤度、症例数が多いものを「特定原材料」と定め、加工食品への表示が義務付けられています。特定原材料には、卵、乳、小麦、落花生、そば、えび、かにの7品目があります。その他、症例数は一定数あるものの、特定原材料に比べると数が少ないものは「特定原材料に準ずるもの」として20品目が定められ、表示が推奨されています。特定原材料に準ずるものについては、表示が義務付けられてないため、表示されていない場合があります。
特定原材料等の品目は、実態調査等に基づいて見直しが行われ、最近では、平成25年9月に「カシューナッツ」と「ごま」が「特定原材料に準ずるもの」に追加されました。
特定原材料等の表示方法について
以下の2通りの表示方法があります。
1)個別表示(原則)
特定原材料等を、個々の原材料の直後にカッコ書きで表示する。
【例】マヨネーズ(卵、大豆を含む)、乳化剤(大豆由来)など
2)一括表示
特定原材料等を、全ての原材料および添加物の表示の後に、カッコ書きでまとめて表示する。
【例】マヨネーズ、乳化剤(一部に卵、大豆を含む)
特定原材料等の表示の省略
下記のような場合は、特定原材料等を含む旨の表示を省略することが認められています。
1)代替表記
表記方法や言葉が違うが、特定原材料等と同一であると理解できる表記(例を参照)。
例えば、「玉子」の表示をもって「卵を含む」の表示を省略することが可能となります。
2)拡大表記
原材料名に特定原材料等あるいは代替表記を含んでおり、特定原材料を使った食品で
あることが理解できる表記(例を参照)。
拡大表記についても、例に示す表示をもって、特定原材料等の表示に代えることが
可能となります。
詳しくは、「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号消費者庁次長通知)別添アレルゲンを含む食品に関する表示別表3 特定原材料等の代替表記等方法リスト参照(注2)。
特定原材料の検査
当所では、大阪府内に流通する食品を対象に特定原材料7品目の検査を実施しています。消費者庁の通知(注2)に従い、キットを用いたスクリーニングおよび確認検査により特定原材料の混入の有無を確認しています。確認検査として、小麦、そば、えび、かに、落花生にはDNAを対象とするPCR法(注3)を用いています。一方、卵および乳には、タンパク質を対象とするウエスタンブロット法(注4)を採用し、より効率的な検査を実施しています。
今後もこれら特定原材料の検査を通じて、府内に流通する食品の安全安心の確保に一層努めてまいります。
(注2)消費者庁ホームページ:食品表示法等
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
(注3)PCR法(polymerase chain reaction):検査対象の食品から抽出されたDNAの特定の領域を増幅し、検出する手法のこと。
(注4)ウエスタンブロット法:検査対象の食品から、電気泳動等および抗原抗体反応により特定のタンパク質を検出する手法のこと。
お問い合わせ
衛生化学部 食品化学1課
#食品化学1課は,2023年1月より食品安全課と食品化学課に再編されましたので,
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