釣ってきたフグを家庭で調理するのは危険です
フグによる食中毒について正しい知識を持ちましょう。
フグは日本の食文化を代表するものの1つですが、安全に食べるには細心の注意と正しい知識が必要です。
下の写真は比較的食中毒事例の多いフグであるショウサイフグ、クサフグ、ヒガンフグおよびコモンフグです。
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ショウサイフグ
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クサフグ
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ヒガンフグ
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コモンフグ
写真:食中毒の発生事例が多いフグの種類(種名)[写真は一例です]
(これらの写真は大阪市中央卸売市場食品衛生検査所からご提供いただきました。)
フグによる食中毒はどこで起こる?
フグを原因とする食中毒は、どこで発生しやすいでしょうか。
平成元年から平成22年に発生したフグを原因とする食中毒がどこで発生したのかをまとめると図のようになります。
図のようにフグを原因とする食中毒は、家庭での発生が圧倒的に多く、次に飲食店や販売店が続くことがわかります。
家庭での発生では、フグを自ら釣ったあるいは他人からもらったフグの素人による調理が、また飲食店等での発生は、フグの取扱い資格がない調理者による処理、あるいはフグ処理業無登録施設による有毒部位(肝臓や卵巣など)の提供が主な要因となっています(注1)。
安全に食べられるフグの種類、食用部位、漁獲場所は決められています。
厚生労働省では通知(注2)により、安全に食べられるフグの種類等を定めています。現在(2018年12月)、処理することにより食用可能なフグは21種類です。いずれも筋肉部位は食用可能ですが、皮や精巣はフグの種類により食用可能か否か異なります。ただし、筋肉部位が食用可能なコモンフグやヒガンフグの中でも、東北地方の一部で漁獲されるものについては、食用できないとされており、同じフグでも漁獲場所によって食用可能か否かが決められています(表)。またいずれのフグも肝臓などの内臓、卵巣、眼球および脳等は有毒部位として、除去が必要です。
フグの毒はフグが作るの?
フグの毒としてはテトロドトキシン(TTX)が有名です。当初TTXはフグ自身の体の中でつくりだされるのだろうと考えられていました。しかしながら人工飼育されたフグにはTTXが含まれないことや、フグの餌となる巻貝やヒトデの中や海に生息する細菌からもTTXが検出されたことにより、食物連鎖を通じてフグがTTXを蓄積するのだろうという説が有力となっています。
一方、TTX以外にも麻痺性貝毒の成分を含むフグ毒の存在も明らかにされており、その原因については研究が進められています。フグの毒についてはまだまだ未解明の部分が多いのが現状です。
フグの鑑別や処理は十分な専門知識や技術が必要ですので、一般消費者の方が素人判断でフグを取り扱い、調理するのは大変危険ですのでやめましょう。安全にフグを食べるには、都道府県が定めたフグの取扱資格を有する専門店で処理されたものを食べましょう(注4)。
注釈
(注1)登田美桜ら, わが国における自然毒による食中毒事例の傾向(平成元年~22年)
食品衛生学雑誌 (2012), 53巻, p105-120
(注2)昭和58年12月2日付け環乳第59号厚生省環境衛生局長通知;フグの衛生確保について
(注3)詳細は厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」をご参照ください。
(https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_01.html#betsuhyo)
(注4)大阪府では平成30年4月以降、有毒部位を全て除去したフグを販売、調理、加工および保有する場合に限り、フグの営業許可は不要となっています(http://www.pref.osaka.lg.jp/shokuhin/hugu/joreikaisei2911.html)。
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衛生化学部 食品化学2課
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