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大阪健康安全基盤研究所

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食品中のカドミウム

掲載日:2022/1/18

カドミウムとは

カドミウムは重金属の一種で、水や土壌など環境中に広く存在します。 栽培時に環境中から農産物に取り込まれるため、米や野菜など多くの食品に含まれています。カドミウム濃度が高い食品を長年摂取すると、腎臓の機能障害を引き起こす可能性があります。過去には、鉱山から排出されたカドミウムに汚染された地域でイタイイタイ病が発生し、地域住民に健康被害をもたらしました。

           イネのイラスト             田んぼのイラスト    

日本人のカドミウム摂取量

さて、日本人のカドミウム摂取量はどれくらいでしょう?

国立医薬品食品衛生研究所では、昭和52年度から毎年、日常食の汚染物質の摂取量調査を行っています。平成26年から平成28年の調査結果によれば、日本人の食品からのカドミウムの1日摂取量は、18.4 μg(マイクログラム*)です。これを1週間あたりの摂取量として計算すると128.8 μgとなり、そのうち約4割が米由来であると報告されています。この摂取量は多いのでしょうか?

内閣府食品安全委員会において、「ヒトが一生にわたり毎日摂取し続けても健康への影響が現れない1週間あたりの摂取量」が設定されています。これを「耐容週間摂取量」といい、カドミウムの場合は、体重1 kgあたり7 μgです。日本人のカドミウム摂取量を耐容週間摂取量と比較してみると、体重1 kgあたりの週間摂取量は、2.4 μg1週間あたりの摂取量128.8 μgを成人平均体重53.3 kgで除して計算)となり、耐容週間摂取量(7 μg)よりも十分に低い値となりました。調査開始以降、経年変化はあるものの、米の摂取量低下などによりカドミウムの摂取量は減少傾向にあります。

 マイクログラム(μg)とは
1μgは、1 mgの1000分の1、つまり100万分の1 gという重さです。
(1μg = 0.001 mg = 0.000001 g)

カドミウムの基準値

食品衛生法において、米(玄米及び精米)、清涼飲料水(ミネラルウォーター類)にカドミウムの基準値が設定されています(表参考)。米については、昭和45年以降、1.0 mg/kg未満とされてきました。その後、国際基準が0.4 mg/kgであることを受け、平成23年に0.4 mg/kgに改正されました。 農林水産省の実態調査において、国内の米2000検体に含まれるカドミウム濃度の平均値は0.05 mg/kgと報告(平成30年)されており、基準値(0.4 mg/kg)よりも十分に低い値でした。

                   カドミウムの基準値                           研究員のイラスト

当研究所においても、大阪市の監視指導計画に基づき、大阪市内に流通する精米または玄米に含まれるカドミウムを検査しています。その結果、平成20年以降検体として搬入された米について、基準値を超えた事例はありません。

その他の食品について

カドミウムは、海水や海底の底質(ていしつ)存在することから、海底付近に生息する軟体動物(貝類、タコ、イカ)や甲殻類(カニ、エビ)の内臓にも高濃度のカドミウムが含まれる場合があります。これらを原料として用いた加工食品である塩辛類などでは、カドミウム濃度がやや高いものがみられます。一方、これらの食品は、昔から摂取されてきた長い食経験を持つ食品です。したがって、通常の食生活の中で塩辛類などを摂取したとしても、健康に悪影響を与えることはないと考えられます。特定の食品を短期間で多量に摂取することは避け、バランスのとれた食生活を心がけましょう。

 

大安研は継続して検査を実施し、今後も食の安全・安心に貢献していきたいと思います。

 

参考文献

農林水産省食品中のカドミウム に関する基準値
農林水産省「国産農産物中のカドミウムの実態調査」の結果について
農林水産省我が国における農産物中のカドミウム濃度の実態
厚生労働省「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A
厚生労働省清涼飲料水等における金属類及びかび毒の成分規格について
日本人における食品からのカドミウム曝露の現状 
農林水産省日常食からのカドミウム1日摂取量の年次推移
タコ,イカ,ハマグリ,アサリおよびチョコレート中のカドミウム濃度の実態調査

 

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衛生化学部 食品化学2
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