我が国における医薬品の製造管理について
掲載日:2021年1月21日
医薬品は疾病の治療に使用されるため、有効性や安全性等の品質に関して特別の配慮が必要です。
医薬品の製造は、GMP(Good Manufacturing Practice)と呼ばれる厳格な基準に従って行われています。
GMP基準は、1961年に発生したサリドマイドによる薬害事件を端緒として1969年にWHOが作成し、適用することを加盟各国に勧告しました。医薬品のGMPには遵守すべき事項として、以下の3原則が示されています。
1:人為的な誤りを最小限にすること。
2:医薬品の汚染及び品質低下を防止すること。
3:高い品質を保証するシステムを設計すること。
我が国における医薬品のGMPについて
我が国では厚生労働省が定める「GMP省令」等の法律により、医薬品の製造が管理されています。GMP省令は1980年に公布された後、「社会情勢の変化」や「製剤技術の進歩」に合わせて改正されてきました。
省令には、医薬品製造所等における製造管理、品質管理、衛生管理に関する必要事項が示されています。GMP省令への適合は、厚生労働省や都道府県から医薬品の製造販売承認を受ける際の要件です。
さらに、承認取得後もGMPに基づく医薬品の製造が適切に実施されていることを確認する「適合性調査」を定期的に受け入れる必要があります。大阪健康安全基盤研究所では、製造販売承認書に基づく規格試験を日常業務として実施しています。
医薬品の製造について
GMPに基づく医薬品の製造では品質の優れた製品を恒常的に供給できる様、多岐にわたる事項について基準書や手順書等の作成が求められます。たとえば下記に示す固形剤の場合、工程管理等の基本的なルールは、「製造管理基準書」等で定められます。
また、製造工程の一部を何らかの理由で変更した場合、「変更管理手順書」に従い処理されます。さらに、製造工程で定められたルールを逸脱した場合、「逸脱管理手順書」に従い処置されます。このように、医薬品の製造においては、「予期せぬエラー」が発生しないよう、管理体制が整備されているのです。
おわりに
疾病の治療という医薬品に課せられた大切な役割を考える時、製造に携わる者は日常の作業に責任を持ち細心の注意を払う必要があります。大阪健康安全基盤研究所では、医薬品の安全性、有効性を確保するため、今後も製造販売承認書に基づく規格試験に取り組んでまいります。
参考文献
大阪府健康医療部生活衛生室薬務課「医薬品・医薬部外品のGMPについて」
http://www.pref.osaka.lg.jp/yakumu/gmpkannrenn/iyakuhinbugaihingmp.html
東京都健康安全研究センター「誰でもわかる簡単GMP」
http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/pharma/hinshitu/gmp_0.html
富士フイルム株式会社「安全な薬を作るために!厳しい基準医薬品GMPとは?」
https://sp-jp.fujifilm.com/future-clip/reading_keywords/vol29.html
中外製薬株式会社「原薬製造・固形剤のくすり工場」
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/factory/factory001_006.html
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