<論文紹介>早食いと身長低下との関連
掲載日:2023年11月13日
この記事は専門家を対象に執筆しております。また、「早食い」に関するトピックもありますので、そちらもご参照ください。
早食いの人は病気の危険が高まる!
早食いと身長低下との関連について、PLoS Oneに掲載されました[1]。
「血管の健康状態の悪化」と「身長低下」についての関連を研究していたところ[2]、「太っていない早食いの人は、身長低下が起こりやすい」ということがわかりました。
早食いと身長低下
今回の研究では、早食いの人は身長低下の傾向が見られました。早食いをすることで、血管の中で酸素がうまく行き渡らずに血流障害を起こすことが身長低下をもたらすのではと考えられました。血管内で酸素が十分に供給されないと、血液の量が足りなくなり、椎間板にも酸素が行き渡らなくなり、椎間板の変性が起こります[図]。これが身長低下を招いていると考えられます。
また、早食いの人は遅い速度で食事をする人に比べて、約1.3倍身長低下が起こることもわかりました。
図. メカニズムのイメージ
早食いによる身長低下のメカニズム
今回はさらに、身長低下がある人で高血圧の傾向がみられました[3]。
高血圧では、血管への悪影響(血管内皮障害)が生じ、心血管疾患の危険因子である動脈硬化へとつながります。また、高血圧の場合、血流中のヘモグロビンを多くして不足している酸素に対応しようします[4]。
先行研究では、早食いであると血管の健康が損なわれ、心血管疾患の危険が高まることが報告されており、これらのことから、早食いが身長低下を招くこと、身長低下が高血圧と関連することがわかりました。早食いが高血圧と同じように血管の健康状態を損なうことで、結果として心血管疾患の危険が高まると考えられます。
つまり「身長低下」=「心血管疾患」のサインになります。
おわりに
まずは、「早食い」という食習慣の改善について、ご一読いただいた方々に意識していただければ幸いです。
早食いの習慣改善については、トピックでも紹介しております。
また、当所では、府民の皆様の健康がより増進されるよう、今後も研究を行っていきます。
参考
- Shimizu Y, et al. Eating speed and height loss in relation to overweight: A retrospective study.PLoS One. 2023;18(4):e0284998.
- Shimizu Y, et al. Association between circulating CD34-positive cell count and height loss among older men. Sci Rep. 2022;12(1):7175.
- Shimizu Y, et al. Association between Height and Hypertension: A Retrospective Study. BioMed 2022, 2(3), 303-309;
- Shimizu Y, et al. Possible mechanism underlying the association between higher hemoglobin level and hypertension in older Japanese men. Geriatr Gerontol Int. 2017;17(12):2586-2592.
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