牛乳の分類と検査について
掲載日:2024年10月18日
スーパーで販売されている牛乳はいくつかの種類に分類されています。この分類は「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(乳等命令)」[1]によって決められています。
牛乳の分類
牛から搾乳したままの乳を「生乳」と言います。生乳100%で作られるものに 牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳の4種類があり、「牛乳」に分類されます。成分調整牛乳とは、生乳から水分や乳脂肪分などを除去し、成分を調整したものです。表1に店頭でよく目にする代表的な牛乳の分類をまとめました。
牛乳 | 生乳の殺菌のみを行い製品化したもの。 成分の調整をしていないもの。 |
成分調整牛乳 | 生乳から水分、乳脂肪分、その他の成分の 一部を除去して成分を調整したもの。 |
低脂肪牛乳 | 成分調整牛乳の1種であって、乳脂肪分を 除去して0.5%以上1.5%以下にしたもの。 |
無脂肪牛乳 | 成分調整牛乳の1種であって、乳脂肪分を 除去して0.5%未満にしたもの。 |
生乳を原料としていても、水など生乳以外のものを加えたものは「牛乳」に分類されません。例えば、コーヒーを牛乳に混ぜた製品はパッケージに「牛乳」の表示をすることができないため、「ミルクコーヒー」などと表示されています。
また、牛乳に似たものに「加工乳」もあります。加工乳は商品名に「牛乳」を使用できないためローファットミルクや濃厚ミルクなどの名前で販売されており、商品名から「牛乳」と区別することができます。
加工乳は生乳や牛乳、これらを原料として作られたバターやクリーム、脱脂粉乳などの乳等命令によって決められた食品を使って作られます。
牛乳パックの表示
牛乳パックには図1のような表示があります。製品の種類(種類別)、牛乳などの成分、殺菌の方法などが書かれています。これらの表示は「飲用乳の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」[2]によって記載内容が細かく規定されています。
牛乳の成分規格
牛乳などは、乳等命令によって守らなければならない成分の基準が決められています。これを成分規格と言います。表2に代表的な牛乳などの成分規格を示しました。
概要 | 牛乳 | 成分調整牛乳 | 低脂肪牛乳 | 無脂肪牛乳 | 加工乳 | |
無脂乳固形分 | 牛乳から水分と 乳脂肪分を除い た成分。たんぱ く質、炭水化物、 ミネラル、ビタ ミンなど |
8.0%以上 | 8.0%以上 | 8.0%以上 | 8.0%以上 | 8.0%以上 |
乳脂肪分 | 乳に含まれる 脂肪成分 |
3.0%以上 | - | 0.5%以上 1.5%以下 |
0.5%未満 | - |
比重 (15℃において) |
水など乳以外の ものが混ざって いないかを確認 する項目 |
1.028以上 | - | 1.030以上 | 1.030以上 | - |
酸度 (乳酸として) |
鮮度を表す指標 | 0.18%以下 0.20%以下# |
0.21%以下 | 0.21%以下 | 0.21%以下 | 0.18%以下 |
細菌数 (1ml当たり) |
- | 50,000以下 | 50,000以下 | 50,000以下 | 50,000以下 | 50,000以下 |
大腸菌群 | - | 陰性 | 陰性 | 陰性 | 陰性 | 陰性 |
#:ジャージー種の牛の乳のみを原料とするもの
常温保存可能品
ロングライフ牛乳、LL牛乳などと呼ばれており、冷蔵保存が必要ではない製品です。120℃で4分間加熱して殺菌し、あらかじめ殺菌した容器に無菌的に充塡することで常温でも保存できるように作られています。普通の牛乳より賞味期限が長い製品が多く、キャンプなどの屋外レジャーでの利用に適しています。開封後は普通の牛乳と同様に冷蔵保存が必要です。
牛乳の検査
大阪健康安全基盤研究所では、 牛乳が成分規格を守って製造されているかを確認するために検査しており、乳についての安全、安心に寄与しています。You tubeの“大安研ちゃんねる”[3]で検査の様子を紹介しているので、ご覧ください。
参考資料
- 昭和26年厚生省第52号「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」(最終改定:令和6年4月1日、消食表第213号)
- 消費者庁HP、公正競争規約 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/fair_competition_code
- YouTube 大安研ちゃんねる 乳の規格検査 https://www.youtube.com/watch?v=lSa6VATWSh4
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